悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



「……これか?」


玲士は通勤用の鞄を開け、中に入っていた封筒を取り出した。

封筒の中には『国際機器技術展』の招待券とパンフが入っている。

玲士は国際会計が専門だが、業界動向を知るためこういった展示会にはできるだけ参加するようにしている。

展示会は月末に有楽町の東京国際フォーラムで行われる予定で、見ると『春川機工』だけではなく『宮村精機』の名前も載っている。

玲士は驚き、まじまじとパンフを見た。

どうやら灯里の会社も参加するらしい。

宮村精機は近年海外での売上を伸ばしているため、確かに参加しても不思議ではない。

――――と、その時。


プルルルと携帯が鳴り出した。

灯里だ。


「……もしもし?」

『あ、玲士? もう家にいるの?』


飲み屋からかけているのだろうか、電話の向こうでガヤガヤと音がする。

玲士は耳をすませながら口を開いた。


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