悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
亮士は言い、灯里の皿に次々と料理を取り分けてくれる。
戸惑った様子でそれを眺める灯里に、玲士が小声で言う。
「……食べなよ、灯里」
「え、でも……」
「遠慮するんじゃないよ。お袋もお前に手伝ってもらうより、食べてもらった方が嬉しいだろうしね?」
「……そ、そう?」
「それにお前をキッチンに野放しにしたらキッチンが修羅場になる。お前をキッチンに行かせるわけにはいかないよ」
玲士の囁きに、灯里はぐっと息を飲んだ。
確かに灯里がキッチンに入ったところで迷惑をかけるのが関の山だ。
今の灯里の料理の腕では情けないがそれが現実だ。
――――それに、理代とは極力顔を合わせたくない。
灯里は注がれたビールを一口飲み、皿の上に置かれたおせち料理に箸を伸ばした。