悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
「今日は残業がなかったからね。……お前は? 帰り、何時頃になりそうなの?」
『うーん、二次会にも出る予定だから11時回るかも。もし眠かったら先に寝てて?』
灯里は弾んだ声で言う。
お酒が入って多少テンションが高くなっているらしい。
自分を気遣ってくれたのかもしれないが、灯里が不在なのにまさか寝られるはずがない。
玲士ははぁと息をつき、言った。
「あのね。お前が帰ってきてないのに寝られるわけないでしょ? ……駅まで迎えに行くから、時間がわかったら連絡して?」
『え、大丈夫だよ。大通りを通って帰るから、明るいし……』
「連絡しなかったらお前に東京の夜の恐怖を味わわせてやるけど。それでもいいの?」
玲士がさくっと言うと、電話の向こうで灯里が息を飲む気配がした。
やがてしばしの沈黙の後、ため息交じりの声が電話越しに聞こえる。
『……わかったよ。店を出たら連絡入れるから』
「それでよし」
玲士はほっとし、肩を下ろした。
――――灯里がこんなに夜遅くなるのは、初めてだ。