悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
――――灯里の幼馴染である、あの男。
灯里を守るため、灯里に危害を加えていた河瀬美奈を容赦なく別会社に左遷したあの男。
いけ好かない男ではあるが、『誰かを守る』ということの本質をあの男は良く知っている。
自分があの男と同じになれるとは思わないし、またなろうとも思わない。
だがあの男の考え方は、今のこの局面では非常に参考になる。
玲士は隣に座る灯里に視線を投げた。
一緒に暮らし始めてもうすぐ一か月になる。
玲士は一心に雑誌を読む灯里の横顔をじっと見つめた。
去年から綺麗になったと思ってはいたが、まさか灯里が街頭でナンパされるとは思ってもみなかった。
灯里は取り立てて美人というわけではないが、純朴さが表情に出た、いわゆる『人好きのする顔立ち』だ。
その純朴さが都会の女に慣れた男たちにとっては新鮮に映るのかもしれない。
しかもそれに加え、玲士と付き合うようになってから大人の女の色気も出てきた。
自分が灯里を変えたと思うと嬉しい反面、心配でもある。
灯里はこう言っては何だが、騙されやすい性格だ。
また、様々なことに巻き込まれやすいタチでもある。
しかし本人はそのことに全く気が付いていない。
だから余計、心配になる。