悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



16:00。

灯里は貴之とともに清澄通りを歩いていた。

午後から清澄白河駅の近くで医療機器のセミナーがあり、二人は勉強のためこのセミナーに参加していた。

灯里は事務員なので本来であれば出席する必要はないのだが、『知っておいた方が後々役立つだろうから』という課長の命で急遽参加することになった。

内容は注射器、体温計といった一般的な医療機器から、人工臓器、カテーテル、MRI、生体情報モニターなどの特殊な機器に至るまで一通りの説明が行われた。

セミナーの後は直帰で、灯里もこれからマンションへと戻る予定だ。


「医療機器って、本当にいろいろな種類があるんですねー……」

「ウチで取り扱っているのは主に内科向けの機器ですけどね。これからもっと拡販ルートを広げていきたいですね~……」


貴之は歩きながら言う。

社長の息子である貴之がなぜ機器営業課にいるのかはわからないが、貴之は実直で真面目な性格だ。

これから経験を積めば将来は社員から信頼される社長になるだろう。


「僕はこれから有楽町で用事があるので、清澄白河駅に戻りますが……」


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