悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
どうやら貴之は電車で帰るらしい。
灯里は軽く頷いた。
「あたしはバスなので駅前からバスに乗りますね」
と灯里が言った、その時。
貴之の携帯がプルルルと鳴った。
すみませんと貴之は言い、電話に出る。
「……はい、宮村です」
『……』
「え? 体調不良で参加できない!?」
貴之が驚いたように声を上げる。
その顔がみるみる青くなっていくのを灯里は息を飲んで見つめた。
どうやら何かがあったらしい。
やがて貴之は唇を噛みしめ、電話を切った。
その切羽詰まったような瞳に驚く灯里の前で、貴之は目元を覆って何かを思案した。
――――やがて、しばしの沈黙の後。
貴之はゆっくりと灯里の方に目を向けた。
その縋るような目になぜか冷たいものを覚え、灯里は思わず一歩後ずさった。