悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
貴之は血走った目で言う。
……いや、それをあたしに言われても……。
と仰け反る灯里に、貴之はばっと頭を下げた。
「水澤さん、お願いします! 今日だけで構わないので、麻衣子のフリをしてもらえないでしょうか!?」
「は……はあっ!!?」
突然のことに灯里は内心でヒィと叫んだ。
麻衣子のフリって……。
いやいや、そんなの無理だから!!
と言おうとした灯里の視線の先で、貴之は道に飛び出てタクシーを止めた。
「み、宮村さんっ!?」
「すみません、水澤さん!!」
叫ぶような貴之の声とともに、タクシーの後部座席に問答無用で押し込まれる。
灯里は魂が抜けた顔で、呆然と隣に座った貴之を見つめていた……。