悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
2.婚約者?
パーティ会場の中はサラリーマンで混雑し、飲み物を片手に名刺交換や商談などを行っている。
灯里は貴之に腕を掴まれたまま会場の中に入った。
会場の中は広く、部屋のあちこちに飲み物や軽食のブースがセットされている。
灯里は貴之に連れられながら必死で辺りを見回した。
――――玲士が今朝、行くと言っていたのはこの展示会だった気がする。
懇親パーティにも出ると言っていたので、恐らくこの会場内にいるだろう。
こんなところを見つかったら一体どんな目に遭わされるか……。
……なんかもう、生きている心地がしない。
と半分幽体離脱している灯里に、貴之が言う。
「確か、会場の隅の方にいると言ってた気が……」
貴之は呟き、会場の奥の方へと向かった。
奥の壁際に壮年の男性の姿と若い女性の姿がある。
貴之は足を止め、灯里の耳元に囁いた。
「あれが、僕の父と春川百合です」
見ると、応接室の入り口に掛かっている額縁の写真と同じ人物が立っている。
どうやら社長の宮村賢三らしい。
灯里はひぃと息を飲み、ブンブンと首を振った。