純潔の姫と真紅の騎士
扉を後ろ手に閉めて、アリウムは泣き崩れた。
我慢していた涙が溢れでてきた。
彼女―――スイレンは押し寄せる悲しみに独り震えている。
沸き上がる憎しみを彼女の脆く歪な心に仕舞い込んでいる。
彼女は……鳥籠の白い鳥は、地に堕ちた。
けれど、最期まで羽ばたいている。
無意味だと彼女も知っている。
それでも彼女は…………。
「何故……何故誰も……誰も彼女の叫びが聞こえないの……?」
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