純潔の姫と真紅の騎士
「そんな闇の中で、たった独りで泣くな。そんな悲しい声で泣かないでくれ。俺には聞こえる、お前の声が。俺が助ける。だから、泣くな。もし、俺の声が聞こえたら助けを求めてくれ。神はお前を裏切ったかもしれないが、俺はお前を裏切らない。絶対に」
停止ボタンを押す。
これで彼女に俺の声が思いが伝わるはずだ。
目の前に座る以前よりもやせ細ったアリウムを見下げた。
数日前、特別に休暇を貰ったから遊びに来た、と言って俺たちに会いに来たアリウムは以前とは比べ物にならないほど痩せて、隈がひどく、雨に濡れて衰弱していた。
もしも、ここの療法が格別に良くなければ、アリウムは死んでいたかもしれない。
それほど悲惨な姿をしていた。
「……アリウム。何故、お前はここに来た」
「……ここしか、来るところがなかったからです」
「……何故、あんな姿をしていたんだ?」
「……何も食べる気がおきなくて……そしたら、いつの間にかなっていました……」
「……どうやって休暇をもらった」
「……衰弱していったあたしを見かねたトールさんが、特別に休暇をくれました」
「……何故、衰弱していった?」
「……誰も、誰もスイレン様という存在を……大切にしていなかったから……」
「……それだけか」
「……あなたに言われて、スイレン様を知っていくうちに自分の無力さに悲しくなったから……」
「……そうか」
カイはため息をつきつつ、ある白い扉をノックした。
「はい?」
大人っぽい女性らしい声で顔をのぞかせたのは、ノイズだ。
「ノイズ、悪いがアイツ、なんとかしてくれないか?とにかく、飯を食わせてやりたい。が、食欲がないと言って食ってくれない」
ノイズの目線の先にはただボーッとしているアリウムがいる。
「はい。いいですよ」
ノイズは昔、孤児だったところをシーフーに拾われ、聖剣士六士となった。
そのため、誰よりもあぁいう人をなんとかするのは得意なのだ。
「じゃぁ、アリウムさん。わたしの部屋でお茶でもいかが?最近、珍しいお茶の葉を和国で入手したんです」
「……いえ、あの……」
「ほら、遠慮せずに。わたし、自分の部屋にお友達を招待してお茶会をするのが夢だったんです」
「……え、えぇ。そうですか……」
ノイズは半ば強引にアリウムを部屋の中に押し込み、扉を閉めた。
中でどんな会話をしているのかは聞こえなかったが、翌日になるとアリウムはスッキリした顔をして城へと戻っていった。
後でノイズにどんな方法で復活させたのかを聞いたが、ノイズは意地悪そうに笑って答えてはくれなかった。
停止ボタンを押す。
これで彼女に俺の声が思いが伝わるはずだ。
目の前に座る以前よりもやせ細ったアリウムを見下げた。
数日前、特別に休暇を貰ったから遊びに来た、と言って俺たちに会いに来たアリウムは以前とは比べ物にならないほど痩せて、隈がひどく、雨に濡れて衰弱していた。
もしも、ここの療法が格別に良くなければ、アリウムは死んでいたかもしれない。
それほど悲惨な姿をしていた。
「……アリウム。何故、お前はここに来た」
「……ここしか、来るところがなかったからです」
「……何故、あんな姿をしていたんだ?」
「……何も食べる気がおきなくて……そしたら、いつの間にかなっていました……」
「……どうやって休暇をもらった」
「……衰弱していったあたしを見かねたトールさんが、特別に休暇をくれました」
「……何故、衰弱していった?」
「……誰も、誰もスイレン様という存在を……大切にしていなかったから……」
「……それだけか」
「……あなたに言われて、スイレン様を知っていくうちに自分の無力さに悲しくなったから……」
「……そうか」
カイはため息をつきつつ、ある白い扉をノックした。
「はい?」
大人っぽい女性らしい声で顔をのぞかせたのは、ノイズだ。
「ノイズ、悪いがアイツ、なんとかしてくれないか?とにかく、飯を食わせてやりたい。が、食欲がないと言って食ってくれない」
ノイズの目線の先にはただボーッとしているアリウムがいる。
「はい。いいですよ」
ノイズは昔、孤児だったところをシーフーに拾われ、聖剣士六士となった。
そのため、誰よりもあぁいう人をなんとかするのは得意なのだ。
「じゃぁ、アリウムさん。わたしの部屋でお茶でもいかが?最近、珍しいお茶の葉を和国で入手したんです」
「……いえ、あの……」
「ほら、遠慮せずに。わたし、自分の部屋にお友達を招待してお茶会をするのが夢だったんです」
「……え、えぇ。そうですか……」
ノイズは半ば強引にアリウムを部屋の中に押し込み、扉を閉めた。
中でどんな会話をしているのかは聞こえなかったが、翌日になるとアリウムはスッキリした顔をして城へと戻っていった。
後でノイズにどんな方法で復活させたのかを聞いたが、ノイズは意地悪そうに笑って答えてはくれなかった。