純潔の姫と真紅の騎士


彼女の時は無情に流れていました。

彼女は狭い鳥籠の中で片翼をむしとられ、地に墜ちました。

けれど片翼を必死に動かし、羽ばたいていました。

けれど彼女は世界から虐げられた者でした。

だから誰も助けてくれません。

あたしは神に祈りました。

どうか彼女を助けてほしい、と。

しかし、その祈りは神に届きませんでした。

彼女は闇の中を希望の灯りを信じることなく歩いていました。

春の暖かな日差しの中で、笑って欲しいと願った彼女の母の想いも唯虚しく奪われてしまいました。

彼女は何の赦しも得られぬまま、罪だけが増えてゆきました。

彼女を誰も助けてくれませんでした。

彼女は表情に何も出さなかったけれど、ずっと心の中で叫んでいました。

助けて、と。

ここから出して、と。

自分を闇から引きずり出して、と……。


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