純潔の姫と真紅の騎士
――――――小さな頃から、おかしな夢をみた。
死の夢を見る。
人が沢山死んでいて、その屍の上に自分が立っている。
自分しか”人”を知らないのに、沢山の顔が並んでいる。
だけど、それを見ても……人が死んでいると、もう二度とこの人たちが生き返ることはないとわかっていても、涙も追悼の言葉もでてこなかった。
表情というものを現すことはいつの間にかできなくなっていた。
どれ程信じて祈っても救ってなどくれなかった。
哀しみと憎しみが増えて、決して癒すことができないところまできた。
そんな人たちが死んで、わたしは嬉しいと感じている気がした。
そんな自分の心さえも、わからない。
わかりたくもなかった。