黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
◆サイドステップで、攻撃部位の右手外側である左方向に避け、良雄が空振りしたところにカウンターを叩き込もうと考えた。
タッ…!
決断したのと同時に、俺は通路を蹴っていた。
それを行った直後、今まで止まっていたかのように凝縮されていた時を、針が激しく刻みだす。
完全に俺を射程圏内にとらえていた良雄が、微かに引いた右肘に反動をつける。
そして上体を捻りながら、凄まじい勢いで右拳を突き出した。
──所謂(いわゆる)、格闘術でいうところの右ストレートだ。
俺は目まぐるしく躍動する視界の中で、思った。
『……推定通り……!!』
と。
説明するまでもなく、右拳が顔面を襲う一瞬前に左方向へと跳んでいた俺の、
ブオンッッ──!
右頬十数cm脇を、良雄の右拳が空を切って突き抜ける。
…何はともあれ、完全回避に成功…!
ただ、全身が緊張により固まっていたせいで、完全回避といっても、かなりギリギリのタイミングだった。
そして回避した今でも、そのあまりの攻撃スピードに、内心かなり動揺している。
『こんなのが直撃していたら……』
…などということを考える隙もなく、
ガツッ!
間髪入れずに、何か堅い金属製の物に衝突した音と衝撃が、左足に履いた靴を襲う。
タッ…!
決断したのと同時に、俺は通路を蹴っていた。
それを行った直後、今まで止まっていたかのように凝縮されていた時を、針が激しく刻みだす。
完全に俺を射程圏内にとらえていた良雄が、微かに引いた右肘に反動をつける。
そして上体を捻りながら、凄まじい勢いで右拳を突き出した。
──所謂(いわゆる)、格闘術でいうところの右ストレートだ。
俺は目まぐるしく躍動する視界の中で、思った。
『……推定通り……!!』
と。
説明するまでもなく、右拳が顔面を襲う一瞬前に左方向へと跳んでいた俺の、
ブオンッッ──!
右頬十数cm脇を、良雄の右拳が空を切って突き抜ける。
…何はともあれ、完全回避に成功…!
ただ、全身が緊張により固まっていたせいで、完全回避といっても、かなりギリギリのタイミングだった。
そして回避した今でも、そのあまりの攻撃スピードに、内心かなり動揺している。
『こんなのが直撃していたら……』
…などということを考える隙もなく、
ガツッ!
間髪入れずに、何か堅い金属製の物に衝突した音と衝撃が、左足に履いた靴を襲う。