黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
◆「ああ、もちろん!」


そう言って笑顔を返した。


大事な裕也からこんな珍しいお願いをされ、司のかわい…じゃなくて…無邪気な笑顔を見せられてしまっては、断るに断れない。

それに上戸(うえと)先生に怒られたところで、あんな美形で優しい先生と、1対1の面談なんて望むところだしね。


…って、なに考えてんだ俺…。

…こんなことを考えてしまう俺は、もしかして、そっちの気がある変態さんなのか…?


自分の思考に、ほんの少しだけ自己嫌悪する。


頭の中で、

『いや!
これは裕也や司がそこらの女子より可愛いのがいけないんだ!
そして上戸先生がそこらのお姉さんより美形なのがいけないんだ!』

と必死に言い訳をしたのが、さらに自己嫌悪に拍車をかけた…。


そんなどうでもいい心の葛藤なんて、当然、周囲に与える影響など微塵もない。

関係なく、司たちの話しは進行している。


裕也のほうを見れば、今度は小町屋の顔を見上げていた。

「あ、あの…。
こ、小町屋さんも、どうかな…?」

つっかえつっかえ、やっとそう言う。

裕也の顔を見れば、照れたように頬がほんのりと赤くなっている。


…まさか裕也…。

お前……俺というものがありながら、まさか小町屋のことが好きなんじゃ…。


そんなことまで考え、動揺と嫉妬心を抱いてしまう俺は、やっぱり少し変態なのかもしれない…。


俺からの嫉妬混じりの視線の先には、澄ました顔の小町屋。

小町屋は正面を向いたまま、こっちも見ずに、ぶっきらぼうに口を開く。
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