黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
 
「し、白川や吉良と一緒になんか行動したくないんだけど、つ、司くんが行くんなら…
…あたしも行って、あげるわよ…!////」


言い終わるのと同時に、裕也みたいにほんのりと頬を赤くする小町屋。

そして、唇を尖らせた不服そうな表情をつくり、一度だけこちらに目配せする。


<小町屋好感度、+1(※)>


…これが噂のツンデレってやつか…。


俺は苦笑しながら、それでも『小町屋も案外悪いヤツじゃないよな…』と、心の中でつぶやいた。

まあ本心を話せば、俺は小町屋のことが嫌いじゃない。

むしろ、喜怒哀楽が激しくて口も悪いけど、最終的には相手のことを思いやっているコイツが好きだ。


いや、決して、恋愛感情とかじゃなく。


…たぶん。


何はともあれ、全員の意見がまとまり、運転席近くにある夏樹の席に遊びに行くことに決定した。

俺たち4人は席を立ち、司を先頭にして、バスの中央通路を歩きはじめる。

そして夏樹の3つ後ろの座席に着く頃には、翔太たちの話し声も気にならなくなっていた。

たぶん、位置が離れた事がその理由の7割、雰囲気がよくなった事が残りの3割…ってとこだろう。


間もなく、夏樹の座席に到着しようという頃にも、俺は歩きながら気になる事を考えていた。


…それは今、心の片隅にある、不安要素について。


/(※) 好感度の説明は、本編の直前にあります。/
< 81 / 129 >

この作品をシェア

pagetop