黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
不安材料があるとすれば、それは2つ。


ひとつ目はやっぱり、先生に怒られやしないかということ。


だけどまあ、それについては怒られたら怒られたで、その時はその時。

みんなで素直に謝ろう。


それよりも実は、もう一つの問題のほうが若干引っかかっている。


それは司も小町屋も同様らしく、夏樹の座席を目指しながらも、それとわからぬよう、時折背後を気にしていた。

裕也だけは、こんな提案を言い出したくらいだから、胸の中がいっぱいいっぱいで、そこまで考える余裕がなかったんだろう。

それとも、俺や司や小町屋のことを過大評価して、信頼しきっているか。


……もう1つの不安材料。


それは、目立った行動をとることにより、周りから目を付けられないか…ということ。


……特に、翔太や良雄や智紀から……。


クラスのみんなからももちろんそうだが、やはり、あいつらだけにはあまり目をつけられたくない。

まあ、こっちは4人もいるし、先生も同乗しているバスの中で、あからさまに絡んでくるような真似をする可能性は低いとは思う。

だけど、そこはちょっと不安だった。


…しかし最悪、絡まれたら絡まれたで、その時もその時。

司と協力して、なんとか乗り切ればいいさ。

だって今は、裕也の気持ちを優先してあげることのほうが、俺にとっては大切なんだから。


(ちなみにバスガイドさんは、どういう理由かわからないけど、前に止まったアウトレットから出発する際に、バスには乗車していなかった。 そしてバスの運転手さんも、そのことを全く気にする様子もなく、発車した。)
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