SAKURA組曲
 母が言うが早ぃか、私が携帯電話の待ち受け画面を開くが早ぃか。
 いずれにしろ、普段起こしに来ない母が、この部屋にいる理由を悟った。


「うわぁぁぁ!!遅刻するっ!何でもっと早く起こしてくれないの!!」

「だってー、朔良(さくら)ちゃん、気持ち良さそうに夢見てるんだもん。お母さん、これでも心を鬼にして・・・」

「遅刻させる方が、よっぽど鬼でしょ!」


 私は、勢いよくベッドから飛びおりると、素早く制服に着替え、母を部屋に残して1階に駆け下りた。
 そしてテーブルに置いてあるトーストを、コーヒーで一気に流しこむ。

 超特急の朝食を終え、玄関に行くと、ちょうど母が優雅なステップで階段を下りてくるところだった。
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