龍の恋唄
序章
四大王国の一つである水容国は自然豊かで水脈の恵まれており、その水を利用した染め物が有名な国である。
四季折々の風景が美しいことから他国より観光に訪れる者も多く、よく療養地として使われる。
その国が今、危機に直面している。
降雨量が激減し一部の池や川が干上がったのである。
それに伴い美しい風景も少しずつ変わり果てていくこととなった。
そして、おかしなことに周りの小国では平年通りだという。
被害が出ているのは水容国のみ。
それが意味していることは何なのか・・・
国内で密かに流れている噂によると、『龍の機嫌を損ねたからだ』と言われているらしい。
豊かだった水脈はすべて龍の寵愛の証。
水容国は龍の寵愛を受ける国なのである。