実鳥森の少年の初恋
いつもの小川を飛び越えて、ふと、大きなクスの木の
根元を見ると、そこに倒れている小さな淡い緑色の塊を
見つけました。

何だろう?小鳥かな。そう思いながら
近づくと、小鳥が眠っているように見えます。
さらに近づくと、羽が傷ついているのに気づきました。

けがしているのか。心でつぶやくと
少年は、そっとその淡い緑色の小鳥を抱き上げました。

「だいじょうぶか?」
そう言いながら、少年は、ポケットから
緑色の大きな手袋を取り出しました。

そっとその大きな手袋で、小鳥を包みます。
そして、急いですぐ近くの自宅に戻ります。

母さんは、まだみたいだな。
あとで見せよう。そう思いながら
階段を駆け上がって自分の部屋に入ります。

そして、淡い緑色の小鳥を机の上に
大きな緑の手袋ごと載せます。
「きっともうすぐ飛べるようになるよ。これ魔法の手袋なんだよ」
そっとささやくように、小鳥につぶやく少年です。
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