実鳥森の少年の初恋
(その手袋は、持ち主のあなたを探していたんでしょう。
だから、あなたの手袋ですよ。あなたは、本当は森の精人では
ありませんか?僕の森にすむ人達のことですが)
小鳥のペリドの言葉に、びっくりしながら
森の精人という言葉に不思議な懐かしさを覚えていました。

・・・・・

・・・・・・

・・・・・・
忘れていた幼いころの切ない記憶が蘇ります。

父さんは、崖から落ちる僕を助けようとして
力を使い果たして森の精になったって
聞いているけれど。

父さん、父さんが、森の精人だったんだ。きっと。
僕を助けて森の精になったんだ。母さんが話してくれた
あの話は、本当だったんだ。

でも、この手袋は、父さんの手袋だったんだろうか?
いや、持っていなかった気がする。

実鳥森で遊んでいて・・・
そうだ、ペリドと同じように、あの大きなクスの木の
根元に落ちていたんだ。大きくて
なんだか、父さんの手みたいで懐かしかったんだ。

もしかして、父さんの世界の手袋だったから
不思議なことが起きるのかな?

父さん・・・

< 5 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop