実鳥森の少年の初恋
「そうだ。僕の復元魔法でここにきたばかりの
状況に戻せないかな。やってみるよ」

ジンは、ポケットから緑色の手袋を出して
その森の精人の背中に載せて呪文を唱えます。

緑色の淡い光に包まれだしたその人は
しばらくすると、薄くなりかけていた姿が
だんだん元の姿に回復してきているように見えます。

（ジンの復元魔法、すごいな。回復できるかもな。
これならたぶん、あと３日はもつんじゃないかな。
起こして事情を聞いてみようか）
ペリドが言います。

「助かってくれたのかな。だとしたらうれしいけれど」
肩で息をするジンです。エネルギーをかなり使ったようです。

「う・・・ん、ここは？」
その男の人は、起き上がりました。

「大丈夫ですか？」
ジンが声をかけます。

（森の精人ですね？迷い込んだのですか？）
ペリドが丁寧な言葉で話しかけています。

「え、はい、ここはどこでしょうか？
見慣れない森ですね」

「ここは、人間界の実鳥森です。僕はジンです」

（俺はペリドだ）いつもの話し方に戻っている
ペリドです。

「私は、マリモです。助けてくださったんですね。
ありがとうございます。
・・・

ここは人間界だったんですか。やはり。
この石のおかげであこがれの人間界へこれたんだ・・・
しかし、なぜ、こんなに体が重いんだろう。
少しずつ重くなっているみたいです。
やはり、人間界へ行ってはいけないという教えを
破ったからだろうか・・」
肩で息をしながらつらそうです。

「完全に復元は無理だったみたいですね。すみません」
ジンがマリモに言います。
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