実鳥森の少年の初恋
しばらくすると、ジンがメイといっしょに
走ってきています。
「お待たせ。母が知っているそうです。
いつも、僕と父を見送っていたらしいです」
ジンが、肩ではぁはぁと息をしながら
言います。
走ったのでメイも、顔が赤くなっていて
息を切らしています。
「あの、はじめまして。息子から話を聞きました。
森の精人界へ戻られるのですね?
こちらのクスの木の後ろに結界があります。
緑の石を持っていますか?」
息継ぎしながらも、マリモを早く
森の精人界へ戻さないと
命が消えるので、あせって話しています。
「あ、ありがとうございます。
はい、これですよね」
ポケットから、緑の石のかけらを取り出してみせるマリモです。
「それです。それがあれば戻れます。
その石を手のひらに載せて、クスの木の後ろにまわってみてください。
森の精人界の大きな木が見えたら、そこに向かって歩くといいそうです」
メイが言います。
「ありがとうございます。後ろなのですか。
気づきませんでした」
言いながら、かなり苦しそうに肩で息をしています。
「あの、急いだほうがいいですよ。あちらに
戻れば楽になるはずです」
メイが、遠い過去を思い出すかのように言います。
「ペリド、ジン、助かった。そしてジンのお母さんも
ありがとうございます。
じゃあ、また、会いにきます」
苦しそうな顔をしながらも
手をふりながら、緑石をかかげて木の後ろにまわります。
次の瞬間、緑の透明な光で木の後ろが輝いて
再び、暗闇に戻りました。
(無事、帰れたみたいだな。間に合ってよかった)
ペリドがしみじみと言います。
「うん、良かった。母さん、ありがとう」
「覚えていて良かったわ。あなたは小さかったから」
「僕も父さんとこの木の後ろから
森の精人界へ帰っていたの?」
「ええ、そうよ」
懐かしそうに木を見上げるメイです。
走ってきています。
「お待たせ。母が知っているそうです。
いつも、僕と父を見送っていたらしいです」
ジンが、肩ではぁはぁと息をしながら
言います。
走ったのでメイも、顔が赤くなっていて
息を切らしています。
「あの、はじめまして。息子から話を聞きました。
森の精人界へ戻られるのですね?
こちらのクスの木の後ろに結界があります。
緑の石を持っていますか?」
息継ぎしながらも、マリモを早く
森の精人界へ戻さないと
命が消えるので、あせって話しています。
「あ、ありがとうございます。
はい、これですよね」
ポケットから、緑の石のかけらを取り出してみせるマリモです。
「それです。それがあれば戻れます。
その石を手のひらに載せて、クスの木の後ろにまわってみてください。
森の精人界の大きな木が見えたら、そこに向かって歩くといいそうです」
メイが言います。
「ありがとうございます。後ろなのですか。
気づきませんでした」
言いながら、かなり苦しそうに肩で息をしています。
「あの、急いだほうがいいですよ。あちらに
戻れば楽になるはずです」
メイが、遠い過去を思い出すかのように言います。
「ペリド、ジン、助かった。そしてジンのお母さんも
ありがとうございます。
じゃあ、また、会いにきます」
苦しそうな顔をしながらも
手をふりながら、緑石をかかげて木の後ろにまわります。
次の瞬間、緑の透明な光で木の後ろが輝いて
再び、暗闇に戻りました。
(無事、帰れたみたいだな。間に合ってよかった)
ペリドがしみじみと言います。
「うん、良かった。母さん、ありがとう」
「覚えていて良かったわ。あなたは小さかったから」
「僕も父さんとこの木の後ろから
森の精人界へ帰っていたの?」
「ええ、そうよ」
懐かしそうに木を見上げるメイです。