実鳥森の少年の初恋
「マイ、ジン君のこと好きなんでしょ?」
「だから、まだわかんないって言ってるし」
意地になってしまうマイです。
「そうなの・・じゃあ遠慮しないで私がコクろうかな?」
みゆが言います。
「え~~みゆ、ジンのこと好きなの?」
「うん、かっこいいし、好きかも」
あっさり言います。
「でも、マイの彼だって思ってたから
あきらめてたけど、マイがただの友達って
言うんだったら、がんばっちゃおうかな」
みゆは急に顔が輝きだして嬉しそうです。
「いや、そのあの、私も・・」
もごもごと下を向き言葉がでてこないマイです。
そこへ同じクラスでマイの隣の席のトオルが
声をかけます。
「マイちゃん、みゆちゃん、今、帰り?」
「あ、トオル君、こんにちは」
マイが答えます。
「トオル、私、用事を思い出したから
マイちゃんといっしょに帰ってね~じゃ、マイ、またあした~~」
みゆは、急に方向転換して走り出します。
「みゆちゃん、待って~~」
「用事あるみたいだよ。僕も商店街のほうだから
途中までいっしょに帰ろうか」
「う、うん」
なんだか、みゆったら、もしかして
ジンにもう、コクりに行ったのかな。
まさかね。でも急にだし
下を向いて悶々と悩んでいると・・
「マイちゃん、どうしたの」
トオルが心配気に見つめます。
思わずドキッとして下を向くマイです。
「なんでもないよ。帰ろうか」
平気なふりをしていっしょに歩き出します。