実鳥森の少年の初恋
一方、ジンは今日も、マイを見かけなかったなと
がっかりしながらとぼとぼ歩いています。

そこへ見知らぬ女の子が
「ジン君ですよね?」
声をかけてきます。
息をきらしているようです。

「そうだけど?」
首をかしげると、

「はじめまして、私、神崎みゆです。
マイちゃんのお友達です」

「マイの?」

「はい、いっしょに帰っていいですか?」

「え、いや、あの」

「やっぱりマイじゃないといっしょに帰れないですか?」

「そういうわけじゃないけど」
なんだろう。この子は・・
押しが強くて苦手だなと困っていると

「じゃあ、途中までいっしょに帰りましょう。
私もジン君のお友達になりたいですから。
マイとは、お友達なんでしょ?」
みゆが上目遣いで聞いてきます。

「う、うん、友達だよ。うん」
ジンが答えると

「やっぱり友達なんですか。良かった。
私も友達になっていいですか?」

「あ、あ~、いいよ」
悪い子じゃないのかもな。
マイと仲良しなのか。僕が知らないマイのことも
知っているのかなと考えるジンです。

「わぁ~い、ありがとう。うれしいな」
無邪気に喜んでジンにくっつくみゆです。

「いや、あのくっつかないで」
急いで離れるジンです。

「ごめんなさい」
元気がなくなったみゆです。

それをちらっと見ながら悪かったなと思い
「じゃあ、帰ろうか」
そういうと歩き出します。

「あ、はい、隣りを歩いていいですか?」

「う、うん」

ジンとみゆがいっしょに歩き始めます。

みゆがマイのクラスでの様子を話してくれるので
聞きながら喜ぶジンです。

みゆは、ジンが嬉しそうにしているので
うまくいくかもと張り切っています。

偶然、帰る方向が同じだとわかって
楽しく話しながら、途中までいっしょに
帰る2人です。

次の日、学校に行くと、マイとみゆが
ジンのクラスの前に立っていました。

久しぶりにマイを見てうれしくて
近づくジンです。
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