実鳥森の少年の初恋
ジンの母のメイが帰ってきたようです。
下の玄関から音がしています。

「ん?見えてるよ。まぁ、いいか」
ジンは、ペリドの姿が見えたままなのにと
思いながらも、そのまま、考えていました。

「ジン?帰っているの?お土産があるのよ」

「母さん、お帰り。早かったね」
階段を降りていくジンです。

「はい、きれいでしょ?」
コスモスの花束を大切そうに見せる芽衣です。

「うん、きれいだけど、お土産ってお花?」
ジンが、コスモスの花を見ながらつぶやきます。

「お花もだけど、このおまんじゅうもよ」
ほかほかの大きなおまんじゅうが入った
紙袋も渡してくれました。

ジンが大好きなおまんじゅうです。
笑顔になったジンは、
「母さん、ありがとう」
そう言いながら、早速、食べ始めます。
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