実鳥森の少年の初恋
「お花も買ったの?」

「ええ、お花屋さんが新しくできていたのよ。
可愛いお花屋さんよ。うれしくて長話しちゃったわ」
幸せそうに笑う母のメイです。

「母さん、花が好きだよね。コスモス、森にも
いっぱい咲いていたよ」

「そうね。このコスモスの花の色が珍しくて
懐かしかったのよ。思い出の色かな」

「そういえば普通のコスモスと違って
花びらの色がいろいろなんだね。
不思議な花色で、カラフルだ」

「そう。不思議な花色になっているわよね」
メイは、懐かしそうに遠い目をしています。

ジンは、そんな母を見ると、きっと父さんとの
思い出なのかなと思うのでした。
そして父さんのことをもっと聞いてみよう。
そう思っていました。
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