続・たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
ジェニーの家に着いてすぐに、帽子と眼鏡とそれからマスクをとってから、挨拶もそこそこにソファーに横になった。

腹の上にはルンルンを乗せて。

下手したら俺のベッドよりも寝心地が良いこのソファーは、俺のお気に入りだ。

どこかに堂々と遊びに行けるわけでもないので、必然的にここにくる回数が多くなり、もう自分の家同然にくつろいでいる。


「疲れてるの? 仕事大変?」


一直線にソファーに向かった俺がさすがに心配になったのか、ジェニーは俺のそばにきて、そう言った。


「それなりに大変だけど、お前も忙しいだろ?
仕事はうまくやってるか?
先輩にいじめられてないか?」


根は良いやつではあるが、俺も最初はそうだったように、何かと誤解されやすいところがあるこいつが一瞬心配になったけど。

しかし質問してすぐに思い直し、お前をいじめるような勇気があるやつはいないか、と付け加えた。

ジェニーに手出ししたら親が黙っちゃいないだろうからな。

ジェニーの父親は政治家や芸能関係の大物にもツテがあることを知らないやつは、この業界にはいないだろう。
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