続・たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
決められた立ち位置で踊る曲以外は、ステージを走り回って、なるべくたくさんのファンの近くにいく。

ステージの上から見るきれいなペンライトの光、ファンが俺たちの名前を呼ぶ声と、俺にとっては聞きなれたメンバーの歌声。

普段は会うことができない遠い関係でも、この瞬間だけはすごく近く、まるでステージと客席が一つになったように感じるんだ。

笑顔でファンに手を振って、曲の合間に会いたかったよーと叫ぶ。

みんなに会うために、メンバーと歌うために、今日ここにきたんだよ。


デビュー曲を歌う時は、デビューしてから今までのことを思いだして胸がいっぱいになって歌えなくなったりもしたけど、ヨンウナが俺のパートを代わりに歌ってくれた。

誰かとハモるところでは息を合わせるために顔を見ながら歌って。

ああやっぱり俺たちは一緒にいなくちゃいけないんだよ、ずっとこうして歌っていきたいんだ、そう強く思った。





充実した時間はあっという間に過ぎて、アンコールも含めて約一時間のライブが終わって。

いつものように関係者への感謝と、ファンにありがとうと言って深く礼をしてから。

メンバーに手紙があります、と手紙を読み始めた。
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