続・たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
店の個室に入ってから、ほとんど待つことなくユナと会うことができた。


彼女の好きなチヂミと海鮮チゲを頼んでから、俺たちはお互いの現状報告を...と言っても、毎日のように電話で話しているから、ほとんどユナのことは知っている。

たとえば、この店にかかっている曲は3日前に発売されたばかりのユナの新曲だとか、今度化粧品のCMに出ることとか。

ほとんど知っているんだ、本当に知りたいこと以外は。



「ねえ、なんでこの店を選んだのか分かる?
もっと他に美味しい店も、家から近い店もあるのに...。」


「...なんとなくは分かるよ。」


分かってるよ、嫌と言うほど分かってる。

ユナがこの店を選んだ理由も、俺たちがもう終わりだってことも。


どちらにとっても良くないことだとは分かっていたのに、今日まで引き延ばしてしまった。

頭では理解していても、どうしても認めたくなかったから。






< 7 / 301 >

この作品をシェア

pagetop