続・たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
ペーター視点


午後9時、空気清浄機がたくさんあるガラス張りの部屋で、新曲のバラードのレコーディングが、たったいま終わったところだ。

ハモリの部分が録音し終わったら、ソロパートを順番に録音していくが、めったに音を外さない俺は、メンバーの中でもやり直しが少ない。

今日も2回目でOKが出た。

俺の持ち味は、この安定した中低音。

中国語の中でも声調がたくさんあって最も難しいとされる台湾中国語の発音も完璧。

ダンスナンバーはさすがに厳しいが、バラードなら生歌でも録音した音源とほぼ同じ技術で歌うことができる。

プロでも音源と同じ技術で生歌を歌うことは難しく、普通の人が聞いても分からない程度に音を外してしまうことが多い中での、俺の安定感は自信を持っていいレベルだ。



< 81 / 301 >

この作品をシェア

pagetop