五分で恋におちました。
「浩介ごめん電話に出れなくて。」


『別にいいよ。今日美紗ちゃんと会ってたんだろ?楽しかった?』


「楽しかったけど美紗完全に酔っぱらっちゃって今部屋まで担いでったよ。」


『ははっ、それは大変だったな。』


「ほんとに大変だったよ~。今から電車で帰るね。」


『迎えに行けたらいいんだけどまだ仕事終わってないからな……。ごめんな気をつけて帰れよ。』


「うん、浩介仕事頑張ってね。」


浩介は優しい。


こんな私と23年一緒にいて23年支えてくれている。


浩介のいない生活なんて考えられない。


この時確かにそう思った。



私は浩介からの電話を切って少し早足で歩いた。


美紗の住んでいるマンションから駅までは歩いて五分ほどだが大通に出るまでの道は薄暗くて少し気味が悪かった。


大通の明かりが見えてきたのにほっとして足を遅めると、突然大きな手が私の口を塞いだ。




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