五分で恋におちました。
私はここが暗くてよかったと思った。


きっと真っ赤な顔になっているから……。


大通までの道を彼の腕につかまりながら無言で歩いた。


「ここまで明るい所にくると安心しますね。」


「そうですね……。ありがとうございま………。」


お礼を言おうとして彼の顔を見て言葉を失った。


綺麗な肌……艶々の黒い髪の毛……その髪に負けないくらい綺麗な黒い瞳……通った鼻筋に少し薄い唇……。


綺麗な顔立ちの人だとは分かっていたがまさかここまで美形だとは思わなかった。


つい彼の顔に見とれていると彼も私の顔を眉間に皺を寄せてじっと見ていた。


しまった………。見すぎた……。


そう思い私はすぐに顔を俯かせた。


「ちょっとついて来てください。」


「え………?」


私は突然のことで戸惑いながらも彼について行った。


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