”キレイ”な愛
やっと、さやかに挨拶する人々の輪も落ち着いてきた頃、杖をついた老人が姿を現した。

サポートするように後ろに涼がついている。


「西園寺のおじい様、ご無沙汰ですね」


さやかがにこやかに老人の手を握った。

涼と綺樹の視線が交わる。

互いに愛想のない顔だった。

綺樹はちょっとだけ眉を上げ、久しぶりという言葉に代えた。

涼がおかしそうに口元を緩める。

さやかが涼の祖父に綺樹を紹介すると言ったのに、二人は視線を外した。
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