”キレイ”な愛
綺樹は通常の微笑を浮かべて、涼の祖父の手を握った。


「ご無沙汰しています。
 お元気でした?」


涼の祖父も静かに微笑した。


「あなたのお陰で。
 今日はあなたに是非、礼を言いたくてね。
 ミズ アヤナ。
 ありがとう」


綺樹の瞳を覗き込むようにして礼を言った。

気持ちのこもった礼だった。


「大事なものを見つけるだけでなく、戻してくれた」


綺樹は言葉の真意をとろうと、じっと目を見返していたが、にこやかに笑った。
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