”キレイ”な愛


早足から、やがて駆け足になる。

まだ座ったままの綺樹の姿が見えた。

残り数メートルはゆっくりと歩み寄った。


「綺樹」


目を閉じている。

寝てる?

もう一度呼んで、肩に手を置いた。

ぐらりと頭が傾ぐ。

驚いて頬を支え、膝をついて顔を覗き込んだ。

ゆっくりとした呼吸。

もう一度強く呼んだ。

全く反応が無かった。
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