”キレイ”な愛
「そうだ、じいさんだ」


祖父が、年を取ると眠りが浅くなるとか言って飲んでいた。

睡眠薬。

涼は顔を巡らせて、昏々と眠っている綺樹の姿を見た。

服用をしたら、こういう眠り方が正解なのだろうか。

突然、持っていたジャケットから電子音が鳴り響いた。

ぎょっとして見下ろす。

けたたましい音が寝室に反響する。

綺樹が動いて、手を突いて上体を起した。

よろめいてまた伏してから、再び起き上がった。

辺りを見回している。

なにやらくちびるが動いて呟いている。
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