”キレイ”な愛
9.
*
「申し訳ありません」
さやかの人生でこの言葉を口にすることは、初めてに近かった。
言われた綺樹の父親、尚也は穏やかに微笑した。
「安易にも、彼女が封印した過去を乗り越えるのは、丁度いいと考えました。
安直過ぎました」
「いいや。
いつかは乗り越えなくてはいけないと思っているから」
あなたは悪くないよ、と尚也はTV電話越しのさやかに微笑した。
「綺樹の状態はどうでしょう?」
綺樹の記憶の欠落から数日が経っていた。
「申し訳ありません」
さやかの人生でこの言葉を口にすることは、初めてに近かった。
言われた綺樹の父親、尚也は穏やかに微笑した。
「安易にも、彼女が封印した過去を乗り越えるのは、丁度いいと考えました。
安直過ぎました」
「いいや。
いつかは乗り越えなくてはいけないと思っているから」
あなたは悪くないよ、と尚也はTV電話越しのさやかに微笑した。
「綺樹の状態はどうでしょう?」
綺樹の記憶の欠落から数日が経っていた。