”キレイ”な愛
こうして父親の尚也が帰り、また二人きりの生活が始まった。

綺樹の記憶が戻らないせいか、以前とは違う関係になっていた。

以前は、問われれば答えに困っても、まだ男女の仲ではあった。

だからそれなりに雰囲気があった。

今はさっぱりと、ルームシェアをしているようだった。

同じベッドに寝ているのだが、そういう関係にならない。

涼は自分にも原因があるのはわかっていた。

綺樹が自分との記憶だけ無くしたことを知り、感情にブレーキがかかるようになった。

再び関係が深まれば、また同じように、どんどんとのめり込み、独占したくなり、嫉妬をし、情けない言葉を投げつける。

最低で、嫌な男になっていく。

もうそれはご免だ。
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