”キレイ”な愛
「ん~」


綺樹は本から目を離さずに気のない返事をしながら、手を振った。

ドアが閉まる音に、綺樹はそのまま上体を倒し、顔をソファーにうずめた。

恋愛において冷めてしまった心はどうしようもない。

わかってる。

わかってるから、せめて日本の仕事が終わるまではこのままでいさせて。

それまでに心の整理をつけるから。

突然、携帯が鳴り響きだした。

しばらく無視をしていたが、鳴り止みそうも無く、ため息をついて立ち上がった。

休暇なのにかけてくる相手は大体決まっていて、内容も大体わかる。
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