”キレイ”な愛
「はい」


無愛想な声を取り繕うともしなかった。


「綺樹ね?」


さやかがこういう念の押し方は珍しい。

相手は本当にさやかか?


「だれ?」

「わたしよ」


ため息をつかれてしまった。


「今、涼と一緒かしら?」


なんでそんなことを聞くのだろう。

女王だから、取り繕えない状況をお見通しなのだろうか。


「いや、今はいない。
 涼に用事?
 携帯の番号を知らなかったっけ?」


どいつもこいつも涼を追い回している。
< 158 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop