”キレイ”な愛
今、綺樹の仕事は日本を始めとしたアジアだったはず。

仕事で行くにしても、綺樹の様子はおかしかった。

顔色は青白く、握り締めた携帯を見つめたままだ。


「答えろよ!」


自分でも驚くぐらい大きく、強い調子だった。

いつも何も言わない綺樹。

綺樹が目を見開いたまま顔を上げた。

唾を飲み込む。


「身内が。
 身内が交通事故にあったみたいで。
 さやかが来いって」

「身内?」


綺樹に関しての乏しい知識をかき集める。
< 162 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop