”キレイ”な愛
集中治療室へ消えていった綺樹は、しばらくしてから、ふらつく足取りで出てきた。

そのまま廊下を進んでいく。

涼の横まで来ると、顔を向けた。

眼差しが、いつものように心の奥底を見破るようなのではなく、揺らいで頼りなかった。


「涼」

「ん?」

「とりあえず一緒にきて、と言ったらおまえは着いてきてくれるんだろうか」


一瞬、言葉に詰まる。


「ああ。
 とりあえず着いていくなら」


ぼんやりとした表情でしばらく涼をみつめる。


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