”キレイ”な愛
綺樹はてんで、本気にしていないように、くすくすと笑って煙草をくわえていた。


「継ぐ気になったのは、そのせいよ」


非難しているのだろうか。

横目で見ると、ライナは木々を見つめている。


「あの子、境遇からか、愛情に対して淡白で。
自分から動くことはなかったし、激しくぶつけられても、どこか冷めていて・・。
心配だったのよ。
 いつか人妻との都合のいい関係に落ち着いてしまうんじゃないかって」


容易に想像が出来て、思わず大声で笑うと睨まれ、ひっこめた。


「まあ、境遇のせいじゃないと思うけど。
 来るのを拒まず、去る者を追わず、面倒なのは嫌いっていう男、結構多いよ」


ライナは両手を腰にあててため息をついた。


「愛する人と平凡に幸せになってほしかったの」
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