”キレイ”な愛
2.
  *

「結構、呼ぶね」


その日の仕事に目処を付けて、帰り際、綺樹はさやかの執務室に寄った。

一人掛けソファーに両足を抱えて座り、さやかがサインをした招待状の山を掴む。


「そうね」

「まあ、こういう権力誇示の舞台は、派手な方がいいしね」


綺樹の皮肉の口調に、さやかは軽い笑い声をたてた。

ぱらぱらとめくる。

手が止まった。


「西園寺 涼」


綺樹とさやかが目を合わせた。


「三ヵ月前に見つかった後継ぎよ。
 すばらしい“しごき”を受けているとか」

「ふうん」

「なんだか聞いたことがあるような気がするのだけど」

「ほんとだね」


綺樹はさらりと流した。
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