”キレイ”な愛
綺樹は煙草を灰皿に揉み消すと立ち上がった。


「先、戻るから」


軽く手を上げて、とっとと逃げ出した。

これ以上いると、話が突拍子もない方向に行きそうだ。

会場に戻ると、さやかは相変わらず何人にも囲まれて、談笑している。

女王にかしづく騎士たちだな。

綺樹はくすりと笑って、通りがかりのボーイからワインのグラスをとった。

ボーイ越しに涼の姿が目に入る。

女性二人が満面の笑みで涼の相手をしていた。

20代後半か。

あの位の年の女性からみると、可愛いんだろうな。

涼の外見だったら、アクセサリー代わりに連れ歩けば、優越感に浸れるんだろう。

いや、西園寺の跡取りだったな。

本気でも十分か。

来るもの拒まずの男だしな。

今夜は二人を相手か。

楽しそうなことだ。
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