”キレイ”な愛
綺樹は居心地悪げに首をすくめた。


「ああいう男、苦手なんだ」


ぼそぼそと呟く。


「朝食、食べに行かない?」

「は?」

「この家には食べ物がなさそうだもんな。
キッチン、使った事ないだろ」


綺樹が少し頬を膨らませる。


「だってさ、朝食食べないし。
 夜だって、帰りが遅いしさ。
 作る暇なんてないし」


ぶつぶつと独り言のように弁解している。


「作れないんだろ」


涼の突っ込みに、ぐうの音も出ないようだ。
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