”キレイ”な愛
涼は頭を抱えた。


「男だから否定は、しない」

「じゃあ、それを食べ終わったら、ホテルに行けばいい」


なぜか綺樹はけんか腰だ。

涼はため息をついた。


「そうしたら、おれは寝るだけの相手だよな。
 おまえのひっかける男と変わらない」


綺樹は黙り込んだ。

コーヒーカップをテーブルに置くと、カツンと響いた。


「何があるんだ?
 男と、寝る以外に?」


皮肉じゃない。

本当に疑問のようだ。

少し寂しげな調子も含んでいて、涼は綺樹の顔を見つめた。

綺樹は自分の置いたカップに、視線を止めたままだった。
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