”キレイ”な愛
  *

「独占欲が強いみたいね」


東京本社で最終打合せが終わり、空港に向うべく、ソファーに座っている綺樹の後ろを通り過ぎて、さやかは言った。

何のことかわからず、綺樹は書類を揃えていた手を止めて、見上げた。


「そこ」


白い指が綺樹の首元の後ろの方をさした。


「ついているわよ。
 キスマーク。
 高校生で中々やるわね」


嬉しそうに笑っているのに、綺樹は苦りきった顔になった。

気付かなかった。

いや、綺樹が気付かないような位置に付けたのだ。
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