”キレイ”な愛
「でもいたずらでキスマークをつけるような性格じゃなさそうね。
 去るものを追わない性格なのに、独占したがる。
 矛盾ね」

「そうだね」


どうでもいいように綺樹は相槌をうった。


「矛盾から混沌につながって、そのエネルギーが悪いことにならないといいのだけど」

「発電につかって」


さやかは鈴振るような声で笑った。

笑いを収めて、綺樹と瞳をあわせた。


「いい方法に導いてちょうだい」


しばらく綺樹は見つめ返してから、反らせた。

そして、くちびるを一文字に結び、何も言わなかった。
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