”キレイ”な愛
だから、会食の日とパーティーの日は、男をひっかけるんじゃないかと不安になる。

特にパーティがある日は、成り行きでキスの一つでもしていないか、問い詰めたくなる。

腰に手を回される位は絶対だ。

ほろ酔いでご機嫌なのに、表には出さない涼のイライラに拍車がかかる。

自分がこんなに嫉妬深くて独占欲が強いとは思わなかった。

出張と言われた時は、自分以外に男がいるのではないかと勘ぐり、夜中に電話をしかけた自分に毒づいた。

もちろん綺樹の方が電話をしてくることは無く、いつもの帰宅のように、普通に家に入ってくる。

目が合った瞬間、ぶつけようと思っていた苛立ちを、いつも涼は飲み下していた。

綺樹に対する疑心と不安が、胸の中で埋め火のようにくすぶっていく。
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